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リモートワークでの人事評価について

2020.05.29

■今後もリモートワークは続きそうな状況

今年4月、緊急事態宣言が発出され、多くの社会人はいきなり在宅勤務を余儀なくされました。好むと好まざるとにかかわらず、リモートワークに突入した感じです。

今は緊急事態宣言が解除されました。解除されるとBefore COVID-19の状態にもどるようにも思われましたが、現実はそうではなく、リモートワークは当分続きそうです。

そんな中、今期の人事評価はどうやるのか、どうなるのか、心配だという声をちらほらお聞きしましたので、少し考えてみたいと思います。

これまでは目の前にメンバーがいて、日頃、仕事上の対話があり、メンバーの仕事の様子も見えていたものが、リモートワークでは、画面から消えれば、何をしているのか、どのような状況のなのか確認する術がない、そんな不安があると思います。

■2つの人事評価

一般的に、人事評価には2つの評価が使われています。一つは成果評価であり、もう一つは行動評価(能力評価、コンピテンシー評価等)です。

成果評価は目標管理の仕組みを使って行われることが多く、期初に上司部下で目標を設定し、期が終わると達成度に基づいて評価を行うものです。

一方の行動評価は、評価項目に基づいて、そのような行動が職場で見られたかどうか、どの程度見られたかを基に評価するものです。

さて、リモートワークで評価が心配、あるいは評価がやりにくいというのは、いずれの評価でしょうか。

■上司評価の運用

成果評価は定量的目標であれ、定性的目標であれ、最終の状態がどうであったかを評価するものですので、リモートワークであってもなくても、評価の考え方、運用は変わらないと思われます。

例えば、営業担当であれば、売り上げ・利益目標に対して、目標を達成できたのかどうかを評価することになります。リモートワークであろうと、リアルな対面営業であろうと、結果は結果であり、目標予算に対してどのくらい達成したのかを評価します。

 

もう一つの行動評価はどうでしょうか。

積極性や企画力というようなカテゴリーごとに、「新しい取り組みに積極果敢に挑戦し、学んだことを組織に還流させている」とか、「自分なりのアイデアを盛り込んだ企画提案を行っている」という評価項目が設定され、この項目に基づいて評価を行うのが一般的かと思います。

期中、上司部下が全く接点を持つことなく仕事を進めることはまずないでしょう。営業担当の例で考えると、お客様に提出する企画書についても、メンバー一人が書いてそのままお客様に提出することはなく、上司がチェックし赤入れしたり、アドバイスしたりします。

また、時にはリモート営業に上司も同席して、商談やプロジェクトの推進会議に参加することも可能ですので、途中経過を確認することは可能です。

行動評価も、リモートワークでメンバーの仕事ぶりが見えないため評価ができない、とは考えにくいと思います。

■評価の運用で大事なこと

これまでとは違う環境であったり、違うツールを使って仕事をしているため、漠然とした不安があるのは事実だと思います。不安はありながらも、評価制度の運用の考え方、原則は大きくは変わらないのではないかと思います。

 

このような特殊な環境であれば、成果評価では目標がきちんと設定できているかどうかがより重要です。

環境の激変によって当初の経営計画は成り立たず、目標の修正や変更が必要な状況であれば、早急に目標の修正や変更を行い、目標の再設定面談をメンバーと行うことが求められます。

会社として20年度の計画は変更しないのであれば、その設定した目標の達成に向けて、これまで以上にメンバーとの1on1を増やすなどして、メンバーのモチベーション管理を行うことが求められると思います。

たとえリモートワークであっても、上司が自分のことをしっかりと見てくれていると、部下がそう感じていれば評価結果の納得性は高まります。

リモートワーク環境下で人事評価を行うことを経験した上司は、そう多くありません。極端な言い方をすれば、みな初めての経験ともいえます。

今一度、自社の評価制度の運用ルールを確認することや、部下との接点を増やし仕事の状況や心の状況を把握すること、部下を監視するのではなく、部下を信じ、彼らがモチベーションを保てるように工夫することなどが、大事になってくると思います。

最後に、部下には、これまでとは違った環境(リモートワーク)になったので、自分の仕事の進捗や状況は上司に適宜適切に報連相するように求めてもよいと思います。部下の仕事の全部を観て把握することはできませんから。

(2020.5.29)