人事制度設計で気を付けたいこと
2020.06.15
様々なお客様と制度設計プロジェクトを推進してきましたが、制度ができなかった、制度を導入しなかったというお客様は一社もありません。推進中すったもんだがあったプロジェクトや、振出しに戻るくらい戻ったプロジェクトもありましたが、無事制度導入することができました。プロジェクトメンバーの皆様のおかげです。
制度設計からリリースまでには、気を付けておきたいことがあります。それをいくつか取り上げたいと思います。
①流行の概念やツールをそのまま取り入れている。
- 最近では、OKR、ノーレイティング、HRテックといった用語が人事担当者の間で話題になることがありますが、最新の仕組み=自社が成功する仕組み、とは言い切れません。
- サービス業にあう仕組みがメーカーにあうとは限りませんし、結果主義的な社風の会社で成功した仕組みがすべての会社でうまくいくとは限りません。
- 最新の情報や仕組み等はレビューするものの、本当に目的にあっているのか、自社に合うのかどうかは十分議論し、検討した上で、導入しなければなりません。
- また、初めて導入する仕組みになると管理職の理解と協力は欠かせませんので、管理職への丁寧な説明も不可欠です。
②拙速に制度設計してしまう。
- とにかく早く導入したいという経営の要望に対応するために、制度設計期間を短縮するケースがあります。
- なぜ改定するのか、制度改定をすることで何を目指すのかといった本質的な議論はまどろこしく感じることもあるのですが、途中で手戻りが頻発し、結果遅れてしまうことがあります。
- いたずらに時間をかけすぎてもいけませんが、必要なステップは踏み、短期間であっても作業時間を増やすなどして、
必要な時間を確保するなど、調整しながら進めることが必要です。
③給与を下げることが目的になっている。
- これはオーナー系企業で出くわすことがあるケースです。
- この目的は、社員にはすぐにわかりますし、モチベーションダウンが当然のように発生し、結果売り上げや利益が低下するというマイナスの連鎖を産みだしてしまいます。
- 会社をどうしていきたいのか、社員にはどうなってほしいのか、どのような人材になってほしいのか、制度構築の本当の目的は何かなどをおさえたうえで、進めることが重要です。
④現場の意見を聞きすぎてしまう。
- 社員の声、部門・部署など現場の声に耳を傾けることは間違いではありません。しかし、聞きすぎるとねらった効果を得られないこともあります。
- 現場からあれも評価してほしい、これも評価してほしいと言われ、全て受け入れてしまい最大公倍数的な評価項目になってしまうことが典型例です。
- 現場や社員の声を聴きながらも、経営の目指す姿やビジョン実現のために社員にどうなってほしいのかをテーマに構築することが求められます。
⑤社員への説明に時間をかけないで運用をスタートしてしまう。
- 新しい制度の説明会はどの会社でも行いますが、1回説明したから理解できている、というのは思込みです。
- 社員にとっては人事制度は複雑な仕組みであり、一回聞いて理解できるものではないと考えたほうが良いです。
- また、説明会を私共が代行することがありますが、本来はプロジェクトメンバーの代表者や人事部門の方々が説明するのが良いです。
- ガイドブックなどの資料はもちろん、説明機会を増やすことや、評価の運用時にリマインドする、評価会議には人事も陪席するなどのサポートが必要です。
管理職、社員への説明や評価者研修、評価の運用含めて、制度がしっかりとリリースされていくこと、運用されているくことが重要です。しっかりと使ってもうらうことで改善点も発見できます。そのため使いながらバージョンアップしていくことが必要です。人事制度設計に正解はありませんし、100点満点の制度はありませんから。